SIer辞めてどこ行くの?

SIerが嫌になったら脱出することはできるのか?どんな逃げ道があるのか?というかSIerってそんなにダメなのか?

SIerの営業ってどうなの?

まず結論から。端的に言ってSIerの営業職はお勧めしません。特に新卒で営業配属された人ははっきり言って時間の無駄ですので、余程それがやりたい仕事でない限り早く逃げ出した方が良いです。念のため前提を書いておきますが、私は営業と言う職業を尊敬していますし、企業の中で最も必要不可欠な機能は営業だと思っています。営業職そのものをお勧めしないと言うことではなく、営業職を追求するとしてもSIerの営業は良い居場所ではないと言う意味です。理由はシンプルで、SIer では営業としての成功/失敗体験を積むことができないからです。IT業界で営業をやりたいのであれば、SIerではなくSaaSなど比較的導入のハードルが低いベンダーの営業になることをお勧めします。

そもそも営業というのは何をする仕事でしょうか。私個人の営業の定義は、「お客様に提案をして、商品を買ってもらうこと」です。この定義は前半部分が重要で、提案をしていない人は受注していても営業をしているとは言えません。それは事務作業です。そして自分の提案に対する顧客からの拒絶/受容の反応を経験することによって、営業スキルが磨かれていきます。営業として成長するためには、売るべき商品を手にした時に正しい問いを持ち、それに対する自分の答えを提案に反映し、顧客からのフィードバックを受けて自らの行動を修正していくことが必要不可欠です。正しい問いとは、例えば下記のようなものです。

  • この商品を必要としているのはどんな人なのか?
  • 彼らは何を実現するためにこの商品を必要としているのか?
  • 彼らはどうやって自身の目的の実現にこの商品が役立つと判断するのか?
  • 彼らが他社の商品ではなくこの商品を選ぶとしたら、その理由はなんなのか?
  • 彼らがこの商品の購入を決めるために超える必要があるハードルは何か?

SIerの営業職の問題は、この提案→拒絶/受容の経験を頻度高く積むことが難しいこと、そして上記のような問いに対する答えを営業個人が持ちにくいことにあります。企業規模にもよりますが、SIerが受注するような案件は数千万〜数億円規模になることが普通です。IT業界外の多くの企業にとって、システム開発及びその発注は高い頻度で経験することではありません。まずここで頻度の問題が出てきます。そしてシステム開発の提案は本来顧客の業務と技術に対する深い理解がなくてはできないため、開発経験がない人間ができるものではありません。そのため、SIerの営業で開発経験がない方の業務内容はクライアントとのスケジュール調整(提案のできる開発teamとの打ち合わせなど)、開発からもらった見積の顧客への受け渡し、クレームの一次受付、法務と顧客との契約文章の橋渡し などの業務になっていきます。社内のマネジメントとは受注見込みなどのやり取りもするでしょうが、そもそも自分が提案しているわけではないので受注確率を上げるためのドライバーを持っていません。こういった状況は営業として悲劇としか言いようがなく、SIerの営業として経験を積んでも根本的な営業スキルは何も身につきません。連絡スキルが上がるだけです。もちろんSIerにも優秀な営業の方はいて、案件を自身の考えで提案して受注する方もいると思います。が、それはその方が自身でSIerの営業という不利な環境を跳ね返せるだけ優秀ということであって、仮に彼らが別のより営業スキルが活かせる/磨ける環境にいれば、遥かに大きな成果や成長を遂げられたと思います。

SIerで営業職についてる方、特に20代の方。まだ間に合います。早く逃げましょう。